< 撮影機材 Hasselblad X2D 100C Hasselblad XCD38mm f2.5 >
この辺りの苔の森は、北八ヶ岳の山々の噴火による噴石や火砕流、溶岩流の痕の土壌の少ない岩の上に苔が生息しているので、奥入瀬渓谷や屋久島の苔の森とは少し違った様相をしている。
高見石まで登られたことのある方はご存知だと思うが、高見石では、左の写真のように、1〜5m大の岩塊が積み重なって岩峰を形成し、それが白駒池の北岸まで連なっている。
おそらく白駒の森の中も、噴火当時は高見石と同じように、巨大な岩塊が積み重なって、累々と岩が連なった状態だったのだろうと思う。
その大きな岩が次第に苔に覆われて、現在のような特異な様相の森になったのだろう。
白駒池北側の奥の庭と呼ばれる辺りの森は、巨石の上に苔の絨毯がかかっているから異世界のようで魅力的だけれども、道を外れてふんわりとかかった苔の絨毯を踏み抜くと、大きな岩と岩の隙間は深いクレーターのようになっているからとても危ない。隙間に足を取られれば怪我をするし、下手をすると半身がすっぽりと岩の間に挟まって、抜け出せなくなる可能性だってあるのだ。
だから、この苔の森に縦横無尽に分け入ることなど、絶対に許されない。
この原生林はそうやって、その歩きにくさから長い年月人間が足を踏み入れるのを拒み続け、豊かな苔の森を作っていったのだろう。