< LEICA M9 , Summilux-M 50mm f1.4 ASP >
昨日は、東京でもたくさん雪が降って、今朝はクリニックの前の道路の雪掻きが大変だった。
そんな夜に、ふと思い出して、古いファイルから一枚の写真を引っ張り出してきた。
もう随分前だけれど、息子と二人で青森まで遠出をして、弘前に立ち寄った時のものだ。
東京では経験したことのないような大雪に圧倒されつつ、その雪に埋もれた弘前城で写真を撮っていた時に、
ふと気が付くと、傍らで息子が小さな雪だるまを作っていた。
私の撮影に付き合わせてばかりなのは気が引けていたので、彼にもカメラを貸してあげたから、
しばらくそれぞれに写真を撮っていたのだけど、長い時間でさすがに飽きたらしかった。
息子は特別に写真が好きという訳ではないけれど、時々はっとするような新鮮な感覚で撮ることがある。
この時も、後から見たら、私よりずっと素敵なカットが幾つもあった。
もっと興味を持ってくれて一緒に撮影できたら楽しいのに、それに、絶対に私より感性があると思うんだけど,
なかなか本気で写真が好きということにはならないらしい。
男の子だから、お母さんと一緒の趣味というのは恰好が悪いというのもあるのかもしれない。
そんな訳でこの時も、彼はいつのまにかカメラをポケットに押し込んで、雪だるま作りに励んでいたようだった。
子ウサギくらいの小さな雪だるまだったけど妖精みたいな顔をしていて、
退屈していた息子の代わりに、なんだか訴えるような表情で雪の上から私を見上げていた。