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< 撮影機材 Hasselbld 907X 50C Hasselbld XCD45mmf3.5 >
なんの告知もせずに長期間ブログを休止してしまいました。
一昨年、家族の健康問題やその他にも些事が積み重なって気を揉んでいるうちに
昨年春先にとうとう体調を崩してしまって、ブログもSNSの発信も中断しておりました。
このブログの事を思い出して時々訪問してくださっていた方には本当に申し訳なく思っております。
やっとコンスタントにPCに向かえる体力も気力も回復したかなと思って、
もう一度ブログを復活させようかと思います。
もしかしたら、忘れられちゃったかもしれないけど・・・気が付かれた方はまたよろしくお願いいたします。
さてと、
久しぶりの投稿のタイトルは「サプライズ」にしたのですが、
皆さんは、旅行に出かけた時に、予期せぬ素敵な出会いに巡り合ったことはありませんか?
それは、景色であったり、自然現象であったり、人との出会いであったり、色々ですけれど、
予期せぬ発見や出会いは、その旅を印象深い思い出の旅にしてくれる重要なファクターのように思います。
この写真を撮ったのは、那須の藤城清治美術館の小さな森の中にある小さな教会の中です。
藤城清治さんというと、やはり木馬座の影絵公演での
音楽と光と色がみっしりと詰まった影絵のミュージカル達ですよね。
「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」や「ヘンゼルとグレーテル」や「ブレーメンの音楽隊」・・・
だけど男の子達は影絵よりケロヨンの冒険の方がもっと好きだったかな?
赤いオープンカーのスポーツカーに乗ったケロヨンが、
仲良しのモグラのモグちゃんやアナグマさんやネズミくん、それにガールフレンドのエルちゃんとともに
「ケ~ロヨ~ン!」「バハハ~イ!」と大活躍するお話でした。
テレビ放送は大昔だけどDVDにもなっているので、知る人ぞ知るのような気がするけど、どうかしら?
実は藤城清治さんは、98歳になられた今もお元気に創作活動を続けていらして、
その作品の集大成として自ら作られたのが那須の藤城清治美術館ではなかろうかと思います。
那須高原の別荘地の一角、鬱蒼とした森の中に佇む美術館には
影絵作品が140点、デッサンなどの資料が200点常時展示されており、
中に入ると光と色彩に溢れる空間の中に、夢のような懐かしい世界が広がります。
鬱蒼とした樹々に覆われた那須の別荘地の一角、
大きな門をくぐってから森の小道を美術館の建物まで辿って行くのですが,
その途中に藤城さんが建てた小さな教会があります。
ご自身はクリスチャンでないようですが、奥様とおじ様がカトリックなのだそうで、
もしかしたら教会のステンドグラスが藤城さんの影絵の原点なのだろうかと思わせるほど、
見事なステンドグラスが小さな教会の壁いっぱいに嵌め込まれています。
私は以前にもこの場所を訪れているのですが、その日は生憎の雨降りで、
濡れそぼった森の冷たい雨を避ける為にしばらく教会の中で雨宿りさせていただいて、
その時にこのステンドグラスを見つけました。
けれど、どんよりと雨雲に光を遮られたステンドグラスの印象は残念なことにそれほどインパクトがなくて、
ただ色ガラスの中に影絵の主人公達を見つけて、ほんの少し嬉しく思ったりしただけでした。
ところが、運のいいことに今回の訪問は良く晴れた日の午前中で、
冬の低い日差しが、穏やかに長い光の帯となって教会のステンドグラスに差し込んできたのです。
本当に、それは冬の日差しがくれた素敵なサプライズの瞬間だったように思います。
いつもは厳かに静まり返っている教会の祈祷台のベンチが、
瞬時に浮き立つようにな色とりどりの色彩に華やかに彩られました。
ずっと昔のあの日、
母と弟と出かけた木馬座のシルクスクリーンの中から影絵の中のキャラクターが語りかけてくれたように、
なんだかこのサプライズは「よく来たね。」と私のことをとても元気づけてくれて、
久しぶりにウキウキと楽しい気持ちでシャッターを切りました。
小さな旅が小さなサプライズで、暖かい素敵な思い出に変わった一瞬でした。
余談になりますが、
藤城清治美術館の入場料は、シルバー割引がなんと98歳以上からです。
多分、藤城さんはご自分を「現役」と思っていらっしゃるから、
ご自分より若い方に「お年寄り」なんて思って欲しくないのでしょうね。
でも、98歳以上であの森を歩いて美術館までいらしゃれる方はそれこそスーパーシルバーで、
思い浮かべたら、思わず可笑しくなっちゃった。
美術館の玄関です。
門から建物までは、影絵のキャラクター達が森の中を案内してくれます。
美術館の中は撮影禁止なので、ここではご紹介できません。
ご興味のある方はご自分でいらしてみてね。
藤城清治美術館
〒325-0031栃木県那須郡那須町湯本203