< 撮影機材 Hasselblad X2D 100C Hasselblad XCD 55mm f2.5 >
風景を主に撮影していると、必ず、自分だけのとっておきの場所ができると思うのだけど
ここは、私にとっての「とっておきの場所」のひとつ
大きな岩場を勢いよく流れる早瀬と静かに水の流れる淵がいい具合に混じり合って
川沿いに歩くと、実に変化に富んでいます。
さすがに夏休みやお盆の最中に訪れると、子供連れや若者達が水遊びをしていて賑やかなのだけれど、
山間の小さな渓谷は、普段はほぼ人々から忘れられていて、とても静かな場所です。
しばらく、この場所で撮った写真を掲載していこうかしらと思っていますが、
途中、どこかで場所の種明かしをしますね。
私は観光地が苦手で、写真を撮ろうと思い立って向かう先は人里離れた自然の中が多いのですが
昨今、本当に困ったことに、熊さんの出没が増えてきました。
特に、撮影したい「早朝」、「夕方」、「霧の日」は、熊さんにとっても、絶好の行動時間帯なのです。
今年は例年になく熊出没警報が出て、目撃情報も多く、
それが気がかりで出かけるのを躊躇するようになってしまいました。
今までクマ鈴や笛はもちろんのこと、ラジオやiPhoneで音楽を流しながら歩いたりしていたのですが、
先日、北海道のアイヌ民族の最後のマタギと言われる方からの聞き取りを本にしたものを読んで
このブログにいらした方に少しでも参考にしていただけたらと思ったので、書いておくことにします。
本当は人を襲いたい熊は滅多になく、熊だって人間には出会いたくないので、
通常は人間を見かけたり気配を感じると、熊の方がひっそりと立ち去っていくのですが、
人間は鈍感で、それすらも気づかないで呑気にしている、というのが通常のようです。
けれど、お互いに気づくことなく近寄り過ぎて、ひとたび目が合ってしまったら最悪の状況になります。
ですから、とにかく「出会わないようにする」のが基本中の基本になります。
その為の準備の話です。
本当のところ、クマ鈴はそれ程役に立たない。
ちりん、ちりんという可愛らしい鈴の音は、冬眠明けの小さな子熊にとっては好奇心を誘うこともあ
り、その結果、親熊を誘い出すことになるのだそうです。。
笛もあまり感心しない。
熊は雑食で主食は木の実なので、虎やライオンのように健康な動物を倒して食べるということは滅多に
なく、弱ったり死んでしまった鹿の肉を食べたりしているのだそうです。 笛の音は、聞きようによっては断末魔の鹿の鳴き声に聞こえなくもなく、熊を誘う結果になることもあ
るそうです。
それでは何が効果的?・・・・なんと・・ペットボトル!!
空になったペットボトルをつぶすと、ベコベコ、バキバキという大きな音が出ますよね。
野生の動物は、ああいった類の捻髪音をとても嫌うのだそうです。
あの音が聞こえると嫌だから、ほとんどの野生動物が回れ右して去っていくらしい。
何よりもこれが効果的とおっしゃっていました。
安あがりだし、何処でも手に入る手軽なもので大きな効果があるなんて、素晴らしいですよね。
でも一番効果があるのは爆竹・・・ん~~・・・それなら!
爆竹のパンパンという音は火薬の音ですから、絶対確実に追い払う効果があるようです。
でも、山の中で爆竹に火をつけるのは危険だし、持ち歩くだけでも危ないから無理だなぁと思って、
私の場合は、パーティー用の「音だけクラッカー」というのを用意しました。
爆竹ほどではないけれど、結構大きな破裂音がしますし、テープや花吹雪が入っていないので散らかり
ません。 僅かだけど火薬の匂いも漂うので、人間には微妙でも野生動物には火薬の匂いが届くかなと
期待しています。
惜しむらくは結構かさ張るのが唯一の欠点かも。私は往復の道程と撮影地での分で一回に2,~30個携行す
るので、リュックの中がいっぱいになります。でも軽いので負担にはならないです。
最悪、最終兵器は熊撃退スプレー
スプレーは心の拠り所にはなるのですけれど、熊が4mまで近づいてこないと効果がないですし、
できたらそんな状況になって欲しくないので、まずは熊に出会わないようにするのが一番ですね。
ただ、最悪の場合に備えて、熊が出没する地域(北海道・本州全域、人がいなければ観光地、国道でも
危ないです。)に出かける時は、必ず携行して欲しいそうです。
以上がマタギのお爺さんからの助言 + 私の応用編です。
実際に私が出かける時は、必ず前日に現地の方に最近の目撃情報をお聞きしてから出かけてはいますが、
大抵の場合、車を降りるとでかでかと「熊出没注意!」の看板。
ヤダなぁと思いながら、地元の方の「最近見てないよー」の言葉が頼りです。
熊さんの行動半径は広いので、季節ごと月ごとに出没地域が変わります。
必ず、地元の方に情報をいただいてくださいね。
国立公園なら森のレンジャーの方、観光地ならビジターセンターの職員の方、
山小屋のご主人、地元の食堂のおばさんやおじさん、すごく親切に教えてくださいます。
さて、空のペットボトルを手に、ポケットに数個のクラッカーを入れて歩き始めます。
腰にはあまり使いたくない熊撃退スプレーをスタンバイ状態で下げておきます。一応・・・
手に持ったペットボトルをバキバキしながら歩いて、
途中なんだか不安な気持ちになったらクラッカーを一発パンとやります。
これでちょっと元気になります。
人間の「感」も捨てたものではないので、このちょっと嫌な気分、不安な気持ちというのにも忠実に。
いざ撮影地に着いて三脚を据えて長居する時は、
ラジカセで音楽を流しながら、さらに15分おきくらいにクラッカーをパンパンします。
一人でパーティーやってる感じかな?・・・(笑)
もちろん食べ物はいっさい無しのパーティーですよ。
この一人パーティーは熊対策だけではなくて、猿の群れ対策でもあります。
猿のの群れは多い時には100匹もの集団になるので、
一人で出会ってしまったら、こちらが即退散しなければなりませんから。
山の動物たちは、やけに騒々しい人間がやってきたと眉をひそめているかもしれませんが、
お互いに接触を避けるためには仕方ないので、許してね。
できあがった写真を見ると、森閑とした静寂そのものをかんじられるかもしれませんが、
けっこう賑やかに撮影している時もあるんです。(笑)
いつもじゃないけど・・・
これから紅葉シーズン、山や森の中に入る方も多いかなと思いますが、
皆さん、事故がないように、気を付けて行動なさってくださいね。